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健康コラム 骨盤: 2018年4月

骨盤は歪むのではなく傾いているだけです!

 多くの女性の方は、「骨盤が歪んでいますね。」という言葉を一度や二度は聞いたことがあると思いますし、気にされている方も多いのではないでしょうか?

 私は仕事柄、多くの女性から

 「整体で骨盤が歪んでいる!と言われました。」←骨盤は歪みません。

 「鍼で腰の痛みは骨盤が歪んでいるせい!と言われました。」←腰痛と骨盤は関係ありません。

 「カイロプラクティックで骨盤が歪んでいるから脚の長さが4cmも違いますよ!と言われました。」←本当に4cmも違ってたらまともに歩けません。

 「接骨院で骨盤が歪んでいるから、将来、病気になりますよ!と言われました。」←脅しです。

 「ほねつぎで骨盤が広がっているから、内臓が下がっていますよ!と言われました。」←内蔵をぶら下げている腸間膜が緩んでいます。

 「整骨院で、骨盤が歪むと下半身が太りますよ!と言われました。」←○○○(秘密)が広がっているだけで、太りません。

 「エステで産後太りは骨盤が広がっているからですよ!と言われました。」←同上

 先日、外科医、産婦人科医の医師と話す機会があったのですが、「骨盤矯正を謳っている所は信用できない」と話されておりました。

 ネットでも街でも雑誌でもよく見かける骨盤の「歪み」「開き」。

 そのままにしておくと腰痛、むくみ、冷え症、肥満、生理痛、生理が不順などなど、まるで骨盤の「歪み」や「開き」が関連付けられておりますが、そもそも骨盤は歪んだり開いたりするのでしょうか?

 特に、美容に興味のある女性がターゲットにされている事が多く、気にしている女性が多いという事はそれだけ商売になるということです。

 いくらネット、街、雑誌で見かけるからといって、多数決で多いのが正解とは限りません。

 赤信号、皆で渡れば怖くないと言うようなものです。

 また、有名雑誌でもしょっちゅう特集される骨盤の「歪み」ですが、当院にも有料で掲載しませんか?という営業がひっきりなしに来ます。

 全国版の有名雑誌に掲載されれば一気に知名度は上がりますが、所詮部数がさばければ真実かどうかは二の次なので、当院の考えとしては骨盤は歪まないという考えの元、いつもお断りしているのです。

 当院が「骨盤は歪みません!」と言うと、企画が全部潰れてしまいます(笑)。

 一般的には身体の使い方が悪い、脚を組む、バッグを片側だけで持つ、横座り、出産などが原因で骨盤が歪んだり開いたりすると言われています。

 一般的に骨盤の「歪み」の検査方法としては、
○肩の左右の高さ
○骨盤の左右の高さ
○両脚の長さ
が主ですが、これだけで骨盤が歪んでいるとは断定できません。

 多くの方は、骨盤の「歪み」とは骨盤が捻れる状態をイメージしているのではないでしょうか?

 本来「歪み」とは...物体に外力を加えたときに現れる形状または体積の変化のことで、正常な形から変形することをいいます。



プロメテウス 解剖学アトラス:男性の骨盤


プロメテウス 解剖学アトラス:女性の骨盤 

 骨だけを見ると関節がありますし歪んでしまいそうな気がしますが、骨盤はかなり強力な靭帯で固定されています。


プロメテウス 解剖学アトラス

 では、骨盤自体は変形するのかといいますと、解剖学的(解剖学とは、人間の身体がどのように作られているか?の学問です)には骨盤は頑丈な骨、関節、強力な靭帯で出来ていますので、交通事故のような余程大きな力が加わらない限り、簡単に歪んだり変形したりするとは考えられません。

 なので、手なのでの骨盤矯正で歪みを矯正する事は不可能ですし、例え出来たとしても相当な力が必要なわけで、逆に骨折すると思います。

 また、
解剖した人体の骨盤を大の大人が動かそうとしてもびくともしません。

 実際、多くの整体院、カイロプラクティック、整骨院、接骨院、ほねつぎ、鍼灸院、エステ、何とかマッサージ、リラクゼーションなどが骨盤矯正と謳いながら行っているのは、骨盤周辺の筋肉のマッサージやストレッチです。

 余談ですが、マッサージには按摩指圧マッサージ師という国家資格が必要でして、日本でマッサージが出来るのは医師と按摩師のみです。


 しかし、もし骨盤が本当に歪むとしたら、仙腸関節、恥骨結合が緩む可能性はありますが、図にあるように強力な靭帯があるため、動いたとしても1mm程度動くかどうかでしょうし、恥骨の結合箇所も基本的には動きませんので、骨盤が歪むほどではないです。

 例外として、女性が出産する際に
リラキシンと呼ばれるホルモンで靭帯を緩め、骨盤を動きやすくし、出産しやすくなる事はありますが、産後は元に戻ります。

 また、赤ちゃんが産道を通りますが、赤ちゃんの頭の方が柔らかいので、赤ちゃんに骨盤を広げる力もありません。

 よく、「産後に骨盤が広がってズボンが履けなくなった!」と言う方がおりますが、それは骨盤が広がったのではなく、○○○(秘密)が広がっただけです。

 ○○○が広がっただけなので、施術をすると数秒で改善します。

 あっけなく改善するので、皆さん驚きつつも笑ってしまいます。

 私からすると、骨盤体操と言いながら、時間掛けてお金掛けて何してるのだろう?と思ってしまいます。

 解剖学的に見て、医師が言うように骨盤が歪むという事はありませんし、そもそも、そんなに簡単に歪むようなやわな骨盤ですと、身体を支える事ができませんし、仮にですが、本当に歪むと、激痛で歩けません!

 なのに、なぜ多くの施術者、セラピストや皆さんは骨盤が歪んでいると勘違いをしてしまうのでしょうか?

 それは、皆さんが思っている骨盤の「歪み」とは、
骨盤自体が捻れたり歪んで(変形)いたりするのではなく、骨盤の前傾、後傾、右屈、左屈、右回旋、左回旋を歪みと勘違いしているのです

 骨盤自体が歪んでいるのではなく、骨盤が正常の位置から傾いているだけです。

 また、骨盤の状態と身体の不調の関係が証明された医学的な論文はありませんし、骨盤の状態と腰痛も関係ないです。


骨盤の「歪み」と腰痛は無関係

○対象と方法
 発症後1年以内の腰痛患者144名と健常者138名を対象に、骨盤の「歪み(立位」と座位での両PSISの傾き、立位での両ASISの傾き、ASISからPSISまでの距離、下肢長差)を厳密に測定して腰痛との関連を調査。

○結果
 骨盤の非対称性と腰痛とは、どのような臨床的意義においても関連がない。

 Levangie PK:Spine.1999

 今の時代は研究と追試を重ねて実証された根拠のある学説『EBM(evidence based medicine)』が大事でして、これが世界中の医学者、研究者が導き出した研究結果です。

 エビデンスのある情報が正しく、エビデンスのない情報は否定されるのが医学界では基本中の考え方です。

 ではなぜ、骨盤の傾きが起こってしまうのでしょうか?

 それは、筋肉による影響が大きいと考えられます。

 骨盤にはたくさんの筋肉がくっついていますが、その筋肉が骨盤を正常な位置に維持しています。


プロメテウス 解剖学アトラス

 しかし、日常の身体の使い方、座り方、歩き方などのクセや使い過ぎによって、筋肉が硬くなったり、過度に縮んでいたりすると骨盤は傾くのです。



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